ジャイロセンサ(角速度センサ)

PUPPY本体基板、ベースボードを接続するコネクタの間にPUPPYの傾斜角速度を計測するジャイロセンサENC-03M(村田製作所)が取り付けられています。(図1)

図1(数字はピン番号)

表1に村田製作所のホームページにあったPDFから主要スペックを抜粋したものを載せます。

供給電圧 検出範囲 静止時出力 感度 応答性 重量
[V] [deg/sec] [V] [mv/deg/sec] [Hz] [g]
2.7〜5.25 +/-300 1.35 0.67 50 max 0.4

表1

検出範囲が1秒間に300°なのであまりに速い回転には使用できないようですが、PUPPYのセンサとしては十分です。また、感度が1°/秒あたり0.67mV とかなり小さいので外部回路で増幅が必要です。

ジャイロセンサは角速度に比例した電圧を出力し、静止時出力(=Vref電圧)を中心に回転角速度が正の方向のときは出力電圧が高くなり、負のときは出力電圧は低くなります。(図2)

PUPPYに搭載の回路では図3のような増幅回路になっています。

図3

PUPPYでは感度を10倍くらいにするために出力を非反転増幅回路でREF(1.35V) を中心に

   G = 1 + 100 / 11 = 10.0909...

だけ増幅する回路になっています。

ジャイロセンサ回路問題点

このREFがCPUの電源電圧5Vの半分の2.5Vなら増幅率をもっと上げれるところですがREF電圧が1.35Vなのでマイナスの角速度の時にはすぐに振り切ってしまいます。

ジャイロセンサには電源印加後からジャイロセンサの出力電圧が変動するドリフト現象があります。直流分の電圧変動を緩和するために本当はジャイロセンサ4番ピンと100k抵抗の間にコンデンサを入れてHighPassFilterを形成するのが一般的なのですが、微分回路が入る形になり、出力波形の特性が意図したものと違うようになります。PUPPYではそのコンデンサをカットしていますので時間経過とともにジャイロセンサ出力は大きくなっていき、正確な角速度は得られなくなってしまいます。

是非これらの問題点を解決するような外部回路を取り付けてPUPPYをより安定に倒立させることにチャレンジしてみてください。